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Dexter Gordon "GO"
b0160275_23182381.jpgBe-Bop勃興期から活躍したテナー・サックスの巨人、デクスター・ゴードンの代表作です。
デクスター・ゴードンは、そのJAZZ史上における存在感も巨人ですが、実際に身長も195cmあって、"Long Tall Dexter"というアルバムがあるぐらいです。

デックスは1940年にプロ・デビューしました。1945年からはバド・パウエル、マックス・ローチ、アート・ブレイキーなどの一流プレイヤーと共演しました。レスター・ヤング流のスムーズなフレージングと、チャーリー・パーカー流のビ・バップの革新的なスタイル、そして「これぞテナー・サックス!」という野太い音が魅力のテナー・マンでした。しかし、1950年代後半は、「お薬」のやりすぎで起訴されてしまい、ほとんど刑務所で過ごすことになってしまいました。

普通の人なら、ここで人生おしまいなんですが、デックスのえらいところは、そこから再起し、音楽家としてさらなる高みに上り詰めたところにあります。
刑務所を出所した後、ブルーノートと契約したデックスは、快作を連発します。キャリアから言えばずっと後輩のソニー・ロリンズやジョン・コルトレーンのスタイルを謙虚に勉強し、それを自分のスタイルに取り込んでしまい、「これぞテナー・サックス!」というスタイルにさらに磨きをかけたのです。いくつかののレコーディングをブルー・ノートに残した後、デックスはヨーロッパに移住してしまいます。

この"GO"は、その渡欧直前に吹き込まれたアルバムで、ブルー・ノートのデックスの中では最高の出来だと思います。この2日後に同じメンバーで、"A Swingin' Affair"を吹き込んでいますが、"GO"ほどのできばえではありません。

このアルバムでは、デックスの豪快なテナー・サウンドを心行くまで楽しめます。ヴィブラートが少なく、中身の一杯詰まったハード・ボイルドな音で、タンギングのメリハリをしっかりとつけ、タメの効いた後ノリでゴリゴリ吹きます。デックスの自作曲、"Cheese Cake”やスタンダードの"Love For Sale"などのマイナー・チューンにはその魅力が一杯詰まっています。

また"I Guess I'll Hang My Tears Out To Dry"や"Where Are You?"というバラードで見せる素晴らしい歌心、これはもうたまりません。
タフなんですがとても優しいバラードです。レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウのせりふ、「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」("If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.")を地で行ってる感じで、めちゃくちゃにかっこいいです。

また"Second Balcony Jump"や"Three O'Clock In The Morning"で見せる、いろんな曲を引用しながらのくつろいだソロ、これはまさしく「デックス節」の典型です。中毒性が高く、聴き始めると「もう一回繰り返して聴いてみよう。^^」とカッパ・エビセン状態になってしまいます。^^

またリズム陣も手堅くデックスを盛り立てています。ソニー・クラーク、ブッチ・ウォーレン、ビリー・ヒギンズは、この時代のブルーノートのハウス・リズム・セクションだったようでいろんなアルバムに登場しています。

渡欧後のデックスも、カフェ・モンマルトルのライブなど素晴らしいものを残していますが、それでも「デックスの最高の一枚」となると、やっぱりこの"GO"を選んでしまいます。

1962年8月27日録音
Dexter Gordon (ts)
Sonny Clark (p)
Butch Warren (b)
Billy Higgins (ds)
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# by bluenob | 2008-07-31 00:22 | Tenor Sax
Art Blakey "Moanin'"
b0160275_23204040.jpgドラムスの巨人、アート・ブレイキーの代表作であり、昭和30年代中ごろの日本にファンキー・ジャズ・ブームを巻き起こした名盤です。アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズが1961年に初来日したころ、その人気はものすごいものだったそうです。ある批評家が、「蕎麦屋の出前でさえ、口笛でモーニンを吹いていた・・・」と書いておりました。

元来がへそ曲がりだったので、JAZZを聴きはじめた高校生の頃は、あえて聴きませんでした。スイング・ジャーナルなどで、「ファンキー・ジャズ・ブームの仕掛け人云々」の記述を見たのがよくなかったようです。
生意気盛りの年頃ですから、「ふん、そんなポピュラーなジャズなんて聴かないもん!」と、無視していたのですね。^^
そう言いながらチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァーを聴いていたんですから、何を言ってるんだか、って感じです。^^;

高校を卒業して浪人中に、JAZZ喫茶に入り浸るようになりました。
あるとき、行きつけのお店に入ると、無茶苦茶にかっこいい曲が流れていました。思わずレコジャケを見に行ったら、このブレイキーの精悍な表情が目に入ったのです。
「これがモーニンか・・・。」ジャケットのデザインは雑誌などで知ってましたが、音を聴いたのは初めてでした。その曲は、ゴルソン・ハーモニーの響きが美しい"Are You Real"でした。しばらくジャケットを手にして聞き惚れていました。
曲は"Along Came Betty"となり、クールでスモーキーなテーマが流れてきます。「ジャズ・メッセンジャーズ、めっちゃんこかっこえーがや・・・。」いやー、コペルニクス的転回です。^^;無知と偏見は恐ろしい。^^;

このモーニン、今となってはハード・バップの名盤として愛聴しております。
タイトル曲の"Moanin'"のアーシーなフィーリング、そして私の耳を捉えた"Are You Real"と"Along Came Betty",そして有名な"Blues March", "Come Rain Or Come Shine"、どれも恐ろしくブルージーでノリが良いです。"The Drum Thunder Suit"はちょっとこけおどしっぽいですが。^^;
いずれにせよ、モダン・ジャズらしいアルバムを一枚あげよ、と言われたら、必ず上位に来るアルバムだと思います。

ところで、アート・ブレイキーは元々はピアニストだったそうです。
ある夜、クラブのボスがピアニストを連れてきて弾かせたら、ブレイキーよりも優れた演奏をしたため、アートに「ピアノはクビだ。今日からタイコでも叩いてな!」と拳銃をちらつかせながら脅したため、やむなくドラマーになった、という逸話があります。本当かどうかは知りませんが。^^

しかし、ピアノから始めたキャリアがあればこそ、音楽をより大きな視野でとらえることができるようになったのではないかと思ったりします。
ブレイキーは、その耳の確かさで、実に多くの若手有望ミュージシャンをスカウトしてきました。
ジャズメッセンジャーズで腕を磨いたあと、一流ミュージシャンになったプレイヤーは、数え切れません。

有名どころだと、Clifford Brown (tp), Lee Morgan (tp), Freddie Hubbard (tp), Chuck Mangione (tp), Wynton Marsalis (tp), Branford Marsalis (ts,as), Curtis Fuller (tb), Hank Mobley (ts), Wayne Shorter (ts), Bobby Timmons (p), Cedar Walton (p), Keith Jarrett (p), Doug Watkins (b), Reggie Workman (b)...

いやはや、すごいとしか言い様がありません。特にトランペッターを聞き分ける耳はものすごかったんだな、と思います。歴代スターが並んでますから。^^
この"Moanin'"でも、まだ二十歳そこそこだったLee Morganの溌剌としたトランペットを堪能できます。

1958年10月30日録音
Lee Morgan (tp)
Benny Golson (ts)
Bobby Timmons (p)
Jymie Merritt (b)
Art Blakey (ds)
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# by bluenob | 2008-07-30 00:20 | Drums
Wes Montgomery "Smokin' at the Half Note"
b0160275_22493079.jpg天才JAZZギタリスト、ウェス・モンゴメリーのグルーヴィなライブ盤です。このアルバム、ピアノのウィントン・ケリーと共同名義になっているんですが、圧倒的にウェスの演奏がものすごくて、自分の中ではウェスのリーダー・アルバムという感じです。

このアルバムの圧巻は第1曲目の"No Blues"です。
ウェスといえば「オクターブ奏法」というのが対句のように出てきますが、「これでもかっ!」、というぐらいオクターブ奏法でがんがん暴れてます。
途中、ウェスのソロがあまりに凄いので、ウィントン・ケリーがバッキングを遠慮している箇所があります。いや、遠慮するというより、「こいつ、今日はどこまでやるんだ?」って感じで聞き惚れていたのかもしれません。仲間でもそう思うぐらい、この夜のウェスは神がかっていました。

あまりにウェスが凄いので、その影に隠れてしまいますが、ウィントン・ケリーだっていつものように、ソロもバッキングもばっちりグルーヴィーです。ポール・チェンバースのベース、ジミー・コッブのドラムスもよくフロントを盛り立てています。
考えてみれば、この曲はマイルス・デイヴィスの曲で、ケリー、チェンバース、コッブはマイルスのところのリズム・セクションでしたから、散々っぱらこの曲はやったんだと思います。

ちなみにこのリズム・セクション、フロントを盛り立てるという点では常に素晴らしく、他のアルバムでも脇に回って実に良い演奏を聴かせてくれます。
たとえば、テナー・サックスのジョー・ヘンダーソンとやった1968年のバルチモアでのライブです。("Straight, No Chaser", Verve)
ここでもジョーヘンがスタンダード・ナンバーでやりたい放題に暴れてくれるんですが、それをバックで煽り立てているのが、このケリー、チェンバース、コッブのリズム隊です。さすがマイルスが選んだリズム隊だけあって、フロントを盛り立てる術を実によく知っています。

"No Blues"のほかにも、"Unit Seven"や"Four On Six"もライブならではのドライブ感に溢れたスインギーな良い演奏です。また、"If You Could See Me Now"や"What's New"といったバラードもしっとりした良い演奏です。ピックを使わないスモーキーな味わいのウェスのギター・サウンドをたっぷりと味わうことが出来ます。

とにかくこの夜の4人のドライブ感はものすごいものがありました。1965年の6月24日の夜、ニュー・ヨークのハーフ・ノートに居たかったなあ。あ、9歳のガキじゃなんもわからんか。^^;

1965年6月24日録音
Wynton Kelly (p)
Wes Montgomery (g)
Paul Chambers (b)
Jimmy Cobb (d)
At "Half Note", NYC
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# by bluenob | 2008-07-28 23:27 | Guitar
Ann Burton "Blue Burton"
b0160275_030509.jpgどちらかというとインストゥルメンタルなJAZZばかり聴いているNobですが、女性のJAZZヴォーカルで一番好きなのが、このアン・バートンです。このアルバムは、アン・バートンが34歳のときに吹き込んだデビュー・アルバムです。

アン・バートンはオランダに生まれ、ヨーロッパで活躍したヴォーカリストです。声量があるわけでなく、抜群のドライブ感があるわけでもなく、スキャットが素晴らしいわけでもなく、実に淡々とメロディーをストレートに歌うヴォーカリストです。でも、とてもデリケートな感情表現が素晴らしく、聞き飽きることがありません。

アン・バートンは、歌を選ぶときにメロディーではなく歌詞で選ぶのだそうです。当然歌うときも歌詞を大切にして歌いますし、オランダ人の英語ですから、日本人には聴き取りやすい。^^;
私は、JAZZのスタンダードは歌詞まで覚えたくなるたちなので、アン・バートンのように歌詞を丁寧に歌ってくれる人は大好きです。

また、彼女はカテゴリーにもこだわらないシンガーで、JAZZだけでなくポップスも彼女流のJAZZにして歌ってしまいます。このデビュー・アルバムにも、キャロル・キング"Go Away Little Boy"や、ボビー・ヘブの"Sunny"などのポピュラーが入っています。

どの曲も、彼女独特のハスキーでメローな声で歌われており大好きですが、特に好きなのは"The Good Life"です。
フランスのジャズ・ギタリスト、サッシャ・ディステルの曲で、トニー・ベネットが大ヒットさせました。日本人でも笠井紀美子さんがカバーしていましたが、メロディーも良いし、歌詞もちょっと説教臭いですが、胸にひびきます。アン・バートンは、オリジナルの歌詞を少し変えて下記のように歌っています。

Yes, the good life,
Full of fun, seems to be the ideal,
Yes, the good life,
Makes you hide all the sadness you feel,
You won't really fall in love
'Cause you can't take the chance,
So be honest with yourself,
Don't try to fake romance.

Hmmm, the good life,
To be free and explore the unknown,
Like the heartaches
When you know you must face them alone,
Please remember I still want you
And in case you wonder why,
Well, just wake up,
And kiss the good life bye bye.

私の下手な訳だと、こんな感じでしょうか。

==
そう、確かにいい人生ね。
楽しいことがいっぱいあって理想的だと思うわ。
ほんと、いい人生だと思う。
たくさん悲しいことがあるのに隠してくれるもの。
でも、本気で恋に落ちることはしないのね。
チャンスが無いから、ってすぐに言い訳して。
だけどもっと自分に素直になってみたら。
ロマンチックな気持ちをごまかしちゃだめよ。

うん、確かにいい人生ね。
胸を痛める未知の世界に立ち入らなくても済むし。
でもそんな世界に一人で向かわなければいけなくなったら、
思い出して欲しいの、私にはまだあなたが必要だってことを。
もし不思議に思ったら、さあ、目を覚ましてよ。
今の「いい人生」にキスしてバイバイしてね。

==

1967年録音
Ann Burton (vo)
Louis van Dyke (p)
Jacques Schols (b)
John Engles (ds)
Piet Noordjik (as)
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# by bluenob | 2008-07-28 01:33 | Vocal
Bobby Hutcherson "Happenings"
b0160275_1742213.jpg暑い夏の日に聴くと、すーっと涼しくなるのがこのアルバムです。新主流派のヴァイブラフォン奏者、ボビー・ハッチャーソンの代表作です。

ヴァイブという楽器は、その音色自体がそもそもクールなんですが、ハッチャーソンのモーダルなプレイはさらにクールです。ヴァイブ奏者でも、ミルト・ジャクソンなんかはブルージーでホットなイメージがありますが、ハッチャーソンはコルトレーンをヴァイブに置き換えたような感じで、透明な緊張感に溢れたプレイを展開してくれます。

このアルバムの曲目はほとんどがハッチャーソンのオリジナルですが、唯一の例外がピアノのハービー・ハンコックの作品、「処女航海」"Maiden Voyage"です。ハンコック自身もフレディー・ハバードとジョージ・コールマンを加えたクインテット編成で吹き込んでおり、新主流派の名盤のひとつとなっていますが、このハプニングスにおけるバージョンは管楽器がない分、より透明感の高い名演となっています。

ハッチャーソンのオリジナルの中では、"Bouquet"や、"When You Are Near"などのスローな曲がヴァイブという楽器のよさを活かしているような気がします。
また、"Heat Start"のようにまるでコルトレーンのインプレッションそのもののようなモーダルな曲もかっこいいです。

最後の"The Omen"は、かなりフリーに振った演奏です。1966年という録音時期は、フリー・ジャズが勃興してきた時代であり、前向きなミュージシャンは自由な表現のために前衛的・実験的な作品をたくさん発表していました。ここでは、Eric Dolphyの"Out To Lunch"でも聴かれた、ハッチャーソンのとんがったサウンドが聴けます。また、この曲ではマリンバも演奏しており、フリーなんですがアコースティックな響きで耳障りではありません。

夏の暑い盛りに、「クールでかっこいいJAZZが聴きたいな・・・。」と思ったとき、このハッチャーソンのハプニングスはとてもお勧めの一枚です。

1966年2月8日録音
Bobby Hutcherson (vib, marimba)
Herbie Hancock (p)
Bob Cranshaw (b)
Joe Chambers (ds)
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# by bluenob | 2008-07-27 19:14 | Others