Copyright © 2008 Blue Nob All Rights Reserved
Bill Evans "Portrait In Jazz"
b0160275_19353672.jpg今年もキンモクセイの咲く季節になってきました。この季節になると、エバンスのポートレート・イン・ジャズを聴きたくなります。「枯葉」-"Autumn Leaves"が入っているからなんですが、まあ実際には真夏であれ真冬であれ、季節を問わずよく聴くアルバムでもあります。^^

モダン・ジャズのピアニストの中で、一番好きなピアニストは誰か?と聞かれたら、間髪をおかず「ビル・エバンス!」と答える私ですが、このアルバムは私が一番最初に買ったビル・エバンスのアルバムです。高校生の頃ですから、もう35年も前の話になります。当時はLPですから、針をレコードに下ろした瞬間、研ぎ澄まされたピアノの音色にノックアウトされてしまいました。

エバンスの最高傑作は何か?と聞かれたら、これは間髪をおかずに答えるのはとても難しいです。なぜなら、駄作をほとんど出さなかったピアニストだからです。でも強いてあげるとするなら、リバーサイドで吹き込まれた4部作でしょうか。

1959年12月 "Portrait In Jazz"
1961年2月 "Explorations"
1961年6月 "Waltz For Debby"および"Sunday At The Village Vanguard"

これらの4枚は、ビル・エバンスのピアノ、スコット・ラファロのベース、ポール・モチアンのドラムスというJピアノ・トリオで録音されました。
1961年6月の2枚は、名門ライブスポット、ヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ録音で、JAZZらしい一発勝負という点ではよりスリルがあるのですが、スタジオ録音の"Portrait In Jazz"と"Explorations"には、より端正な魅力を感じます。

この4部作の中で一番最初に録音されたのがこのアルバム、ポートレート・イン・ジャズですが、すでに素晴らしい完成度です。
それまでのJAZZのピアノ・トリオは、主役はなんと言ってもピアノで、ベースとドラムスは脇役に甘んじるという図式だったのですが、このポートレート・イン・ジャズで展開されている音楽は、ピアノ・ベース・ドラムスが対等な立場で演奏しています。いわゆるインタープレイ、というものです。

特に圧倒的なのが"Autumn Leaves"で、ベースのスコット・ラファロのマスター・ピースとも言うべき演奏になっています。
ラファロはテーマからしていきなり意表をつく2拍三連でビートを刻み始めます。またテーマの後のソロ・オーダー、普通はピアニストが先発することが多いと思いますが、いきなり緊張感溢れるラファロのソロになります。エバンスとの対位法的なアプローチも痛快で、お互いに火花を散らすような挑発的なフレーズでいどみかけます。この演奏でラファロはジャズ・ベースの可能性を今までになく大きく広げてしまったと思います。
また、ラファロはコンベンショナルな4ビートのバッキングをやらせてもすごいです。ベース・ランニングの音の選び方の趣味のよさは抜群ですし、そもそもベースの音自体が太くて深くてよく伸びる、実に気持ちの良い音なのです。
もちろん、エバンスのピアノも、文句のつけようがありません。モーリス・ラヴェルやクロード・ドビュッシーなどの印象派のピアノ曲を思わせる微妙なハーモニー、メリハリの効いたピアノ・タッチと抜群のペダルコントロール、コンビネーション・ディミニッシュ・スケールで駆け上がる早いパッセージ、あらゆるテクニックを駆使してピアノから魅力的な音を搾り出しています。この新鮮な響きは、バップ・イディオムでしか演奏できない数多のピアニストを一気に時代遅れにしてしまいました。
この"Autumn Leaves"、JAZZの大スタンダード・ナンバーですが、その決定打とも言うべき演奏が、このアルバムにおける演奏ではないでしょうか。

その他の曲も素晴らしい出来栄えです。印象派的な響きのテーマ演奏で始まる"Witchcraft"、粒立ちの良いシングルトーンが気持ちの良い"When I Fall In Love"、明るくてスインギーな"Peri's Scope"、ポール・モチアンのブラシとスティックの変化のつけ方が面白い"What Is This Thing Called Love"、朧なハーモニーの美しいバラード"Spring Is Here"、甘く上品なワルツ”Someday My Prince Will Come"・・・。どの曲も、JAZZらしい緊張感に満ちた演奏です。

このアルバムの最後を飾るのは、マイルス・デイヴィスのカインド・オブ・ブルーでも演奏された素晴らしいバラード、"Blue In Green"です。
この瞑想的なムードに溢れたモーダルなバラード、作曲者はマイルス・デイヴィスとなっていますが、良くてマイルスとエバンスの共同作品、本当はエバンス単独の作品ではないでしょうか。
カインド・オブ・ブルーでの演奏も逸品中の逸品ですが、このトリオによる演奏も最上の出来栄えです。演奏が終わったあとも、しばらくは目を閉じて、その余韻に浸っていたくなるほどです。

なお、YouTubeに、このアルバムの"Come Rain Or Come Shine"および"Autumun Leaves"がアップされていましたので、下記にリンクを貼っておきます。
Bill Evans Trio - Come Rain or Come Shine / Autumn Leaves


1959年12月28日録音
Bill Evans (p)
Scott LaFaro (b)
Paul Motian (d)
[PR]
# by bluenob | 2008-10-07 21:00 | Piano
John Coltrane "Giant Steps"
b0160275_20585248.jpgJAZZのテナー・サックスと言えば、ソニー・ロリンズと共に双璧をなすのが、ジョン・コルトレーンです。コルトレーンもロリンズ同様、どのアルバムも素晴らしいのですが、季節によって聴きたくなるアルバムが違います。

暑い夏には、インパルスの黒くて重いコルトレーンが聴きたくなるのですが、秋になるとアトランティックに吹き込まれたアルバムが聴きたくなってきます。もう少し寒くなってくると、ブルーノートやプレスティッジに残されたアルバムが聴きたくなります。不思議な季節感です。^^

さて、アトランティック時代のコルトレーンの中でも、コルトレーンの凄みを110%伝えてくれるアルバム、ジャイアント・ステップスをご紹介したいと思います。

当時、コルトレーンはマイルス・デイヴィス・セクステットの一員で、すでにモード時代の幕開けを告げる"Kind Of Blue"を吹き込んだ後でした。このアルバムは、その後に吹き込まれたものですが、モード奏法でばりばりやっているわけではなく、むしろコード奏法を究極まで極めたという印象が強いアルバムです

中でも圧巻は、アルバム・タイトルにもなった"Giant Steps"です。通称「コルトレーン・チェンジズ」と呼ばれる代理和音進行の曲で、1コーラス16小節中に長3度という珍しい転調で、B、E♭、Gのキーを10回も行ったり来たりします。
コード奏法ですから調性感はしっかりあるのですが、B,E♭,Gのいずれもがトニックに聞こえるという、浮遊感漂う不思議な曲です。

これだけ転調すると、その演奏の難しさは並大抵ではありません。しかも、♩=240を超える馬鹿っ早の演奏です。譜面にしたものを演奏するのも容易ならざる曲で、これでアドリブをするとなると想像を絶します。
事実、この曲は斬新過ぎて、当時のサイドメン泣かせの曲だったようです。4月にシダー・ウォルトンとやったセッションはお蔵入りになってしまっています。

また、このアルバムのほとんどを占める5月のセッションでも、名人トミー・フラナガンがこの曲ではヘロヘロになってます。始めはシングルトーンでなんとかアドリブしているのですが、後半はとてもついて行けなくなり、ブロック・コード・ソロに終始しています。オルタネイト・テイクではピアノ・ソロすらありません。^^

しかしコルトレーンは、この難曲を見事に吹ききっています。この変態コードを忠実になぞって、ダイアトニック・スケールの八分音符をばりばりとばら撒いていくソロは、シーツ・オブ・サウンズの典型です。凄みがあるのはもちろん、爽快ですらあります。

YouTubeに、「目で追う John Coltrane/Giant Steps」があります。

興味があったら覗いて見てください。楽器をやったことのある人なら、思わずのけぞってしまう過激な世界が広がっています。^^

"Cousin Mary"は一転してモーダルなブルースです。マイルス・バンドで経験したモード奏法に基づく斬新なフレージングで、伝統的なブルースとは一味もふた味も違うモダンなブルースになっています。

"Countdown"は超アップテンポでアート・テイラーとのデュオで始まります。ジャイアント・ステップス同様、コルトレーン・チェンジズの新鮮な和声進行の曲で、それに基づくコルトレーンのソロは破壊力満点です。

また、バラードの"Naima"だけは、ピアノがウィントン・ケリー、ドラムスがジミー・コッブに代わっています。この曲は瞑想的でモーダルな雰囲気の演奏で、コルトレーンが生涯を通じて愛奏したバラードです。ケリーのピアノも、いつもの「玉を転がすようなシングル・トーン」のケリーではなく、ビル・エバンスを髣髴とさせるブロック・コード・ソロに終始しています。

"Mr. P.C."は、マイルス・コンボ時代からの盟友でもあり、このアルバムでも貢献しているベースのポール・チェンバースに捧げたマイナー・ブルースです。これもアップテンポで、コルトレーンのシーツ・オブ・サウンズを堪能できます。シンプルですが魅力的なリフで、カバーしているミュージシャンもたくさんいます。実際、私も学生時代、Cのマイナーブルースというと、リフはこればかりでした。^^

ジャイアント・ステップスというアルバムタイトルが暗示するように、このアルバムはその革新性で、JAZZの地平を大きく広げた大傑作に違いありません。いつ聴いても、その新鮮さに脱帽してしまいます。

1959年4月~12月録音
John Coltrane (ts)
Tommy Flanagan (p)
Paul Chambers (b)
Art Taylor (d)
Wynton Kelly (p)
Jimmy Cobb (d)
[PR]
# by bluenob | 2008-10-06 22:18 | Tenor Sax
Sonny Rollins "Newk's Time"
b0160275_2311315.jpgJAZZテナーサックスの巨人、ソニー・ロリンズがブルー・ノートに残したアルバムの中で、一番好きなアルバムです。

ロリンズの名盤は数限りなくありますが、世評としては、プレスティッジに残した"Saxophone Colossus"、コンテンポラリーに残した"Way Out West"、そしてブルー・ノートに残した"A Night At The Village Vanguard"が代表的なものだと思います。
この3枚、どれもスケールの大きなアドリブ、ユーモアとペーソスをたたえた歌心、確かにロリンズらしい名演だと思います。
しかし、ロリンズのアドリブの「凄み」を聴く上では、この"Newk's Time"も超一級の出来栄えのアルバムだと思います。

同じテナーサックス奏者でも、ジョン・コルトレーンなら「凄み・迫力」というイメージのアルバムがたくさんありますが、ロリンズの場合は「音楽性全体の魅力」が先にたってしまい、「凄み」を心底味わった、というアルバムはあまりないような気がします。
しかし、この"Newk's Time"はロリンズにしては珍しく、黒々とした「凄み」が前面に出たアルバムになっています。
ある意味、演奏者好みのアルバムかもしれず、テナー・サックスを吹いている人には、このアルバムが大好き、という人が多い気がします。

1曲目の"Tune Up"からして迫力があります。
挑発するようなフィリー・ジョーのドラムに乗せて、軽快なロリンズのアドリブが冴え渡ります。このアルバムが「ロリンズの凄み」を引き出している理由のひとつは、リズム・セクションの違いがあるような気がします。
サキ・コロのリズム隊はトミー・フラナガンとマックス・ローチ、黒人ではありますが、二人とも知性派だし、情熱がほとばしるというタイプではないと思います。
ウェイ・アウト・ウェストも同様で、シェリー・マンとレイ・ブラウン、やっぱりウェストコースとならではの明るさ、軽さが身上のリズムです。
しかし、このアルバムは、ドラムにフィリー・ジョー・ジョーンズ、ピアノにウィントン・ケリーと、より「黒くて熱い」ミュージシャンが参加しており、彼らがロリンズのアドリブ魂に火をつけているのではないでしょうか。

2曲目の"Asiatic Raes"は、トランペットのケニー・ドーハムのオリジナル、"Lotus Blossom"の別名曲です。オリエンタルな味わいの曲ですが、ロリンズのテナー・サウンドの熱いこと熱いこと。テナー・サックス、かくあるべしという、素晴らしい音色です。

3曲目の"Wonderful! Wonderful!"はロリンズ好みの、懐かしいようなメロディーの曲です。ここでもロリンズのアドリブは緩急取り混ぜ自由自在、よどみなく歌いまくっています。

4曲目の"Surrey With the Fringe on Top"はまさしく圧巻です。ロリンズのアドリブの凄みを嫌というほど味わうことができます。この1曲のためにこのアルバムを買っても後悔しません。
この時代では珍しい、テナー・サックスとドラムスのデュオですが、ロリンズもフィリー・ジョーも挑戦的な音を連ね、剣豪同士の真剣勝負に似た緊張感が漂っています。
このアルバムを吹き込んだ2ヵ月後に、ロリンズはピアノ・レス・トリオでの"A Night At The Village Vanguard"が吹き込んでいますが、ここでの編成はさらにシンプルなだけに、ロリンズの凄みが際立ちます。

5曲目のブルース、"Blues for Philly Joe"、テーマを繰り返し引用しながらのロリンズ節です。ブルースという基本的なフォーマットにもかかわらず、ロリンズらしい個性がばっちり出ています。また、ダグ・ワトキンスのベース・ソロもグルーヴィで、そこから4バース・チェンジに入っていくあたりの流れもファンキーで楽しいです。

最終曲は"Namely You"、心地よいミディアム・テンポの名演です。ロリンズの豪快な音色、余裕すら感じさせる歌い方がたまりません。「男は黙ってソニー・ロリンズ」って感じです。ウィントン・ケリーのピアノ・ソロも、よく言われる「玉を転がすような」という形容がぴったりの小粋なスイング感に溢れています。

ロリンズのアルバムとしては、不当に評価が低いように思いますが、私はこのアルバムのロリンズを愛してやみません。

1957年9月22日録音
Sonny Rollins (ts)
Wynton Kelly (p)
Doug Watkins (b)
Philly Joe Jones (ds)
[PR]
# by bluenob | 2008-10-05 21:24 | Tenor Sax
Amalia Rodrigues "Com Que Voz"
b0160275_2128105.jpgこのアルバムは、ポルトガルのファドの女王、アマリア・ロドリゲスの1987年のアルバムです。

このアルバムがJAZZでないのは百も承知ですが、あえてご紹介させていただきます。アマリア・ロドリゲス、ビリー・ホリデイに勝るとも劣らない感動を与えてくれる素晴らしいヴォーカリストです。

ファドは、ポルトガルで生まれた民俗歌謡です。ファドとはポルトガル語でも運命とか宿命とかという意味の言葉です。英語だと"fate"です。この重い名前からも察しがつくように、ファドはアメリカにおけるブルースのような響きを持った音楽です。

アマリア・ロドリゲス(Amália Rodrigues、1920年7月23日-1999年10月6日)は、そのファドの国民的歌手です。このアルバムは、アマリア・ロドリゲスが67歳の時に吹き込まれたものです。

若い頃のような声量も艶もすでにないのですが、それでもこのLPに針を下ろし、アマリアの声が聞こえてくると、いつも全身総毛だってしまいます。魂が震える、というのはこういうことを言うのでしょうか。
Jazzで言うと、Mal Waldronの畢生のアルバム "Left Alone" で、Jackie McLeanのアルト・サックスが入ってくる瞬間に似ていますが、より強烈に魂をゆさぶられます。

1曲、2曲と聴くにつれ、「ファドって運命か、俺の運命はなんだろう・・・」と考えさせられてしまいます。
そんな重い音楽ですが、決して聴きにくいものではありません。むしろ、自然に耳に入り、心の奥の一番柔らかなところに染み込んでくるような感じです。
軽いJAZZボーカルもお洒落で良いものですが、たまにはこんなファドのアルバムを聴いて、どっぷりと重い雰囲気にはまってみるのも良いものです。

なお、このアルバムのジャケット写真、大好きです。
若い頃は艶やかな美女だったアマリアですが、このアルバムに写っているのは、老境に入ったアマリアです。シワが増え厚化粧になったとは言え、女性として、人間として、より美しく深みをたたえた素晴らしいアマリア・ロドリゲスです。
この写真を撮ったカメラマン、実に素晴らしい仕事をしました。CDで出ている"Com Que Voz"は、この素晴らしい写真が使われておりません。残念なことです。

このアルバムのタイトルとなった曲"Com Que Voz"のYouTube動画がありますので、リンクを貼っておきます。
また、このアルバム収録曲で、もう少し明るい「ヴィアナへ行こう」"Havemos de Ir à Viana"のYouTube動画もあります。
これも素敵な歌唱です。
[PR]
# by bluenob | 2008-08-31 22:00 | Vocal
George Wallington "The New York Scene"
b0160275_2192348.jpg白人バップ・ピアニスト、ジョージ・ウォーリントンがプレスティッジに残した名盤です。
このアルバム、私がお金を出して買った始めてのジャズ・アルバムでした。

中学生の頃は、レッド・ゼップリン、クリーム、ヤードバーズといったブリティッシュ・ハード・ロックばかり聴いていました。しかし、高校生になって吹奏楽部に入部して、アルト・サックスを吹き始めて、とたんにJAZZに目覚めてしまいました。

私が高校1年生だった1972年に、JAZZ廉価版シリーズというのが各レコード会社から発売されました。そのきっかけになったのが、ビクターから復刻したプレスティッジの1,100円シリーズです。

当時、新譜アルバムは2,200円ぐらいでしたから、このシリーズは半額です。この値段ですと、とぼしい高校生の小遣いでもなんとかなります。このシリーズ、全部で50枚ぐらいリリースされており、スイング・ジャーナルの評論を検討して何枚も購入し、それらはいまだに私の愛聴盤になっています。

いずれにせよ、最初に買った1枚は、このThe New York Sceneでした。おそらく編成を見て、アルト・サックスが入ったクインテットだったから興味を持ったのでしょう。A面もB面もそれこそ擦り切れるぐらいよく聴きました。しかし、このアルバムが気に入ったから、JAZZにのめりこんでいったわけで、この最初の1枚が気に入らなかったら、今頃JAZZは聞いてなかったかもしれません。^^;

このアルバムのリーダーは、ジョージ・ウォーリントンです。ウォーリントンは、1943年から1953年にかけて、Dizzy GillespieやCharlie Parkerなどと演奏をしていた長いキャリアを持つ白人バップ・ピアニストです。彼はバップ・チューンの名曲、"Lemon Drop"や "Godchild"の作曲者でもあります。
これという強い個性はないのですが、破綻のない端正なピアノを弾きます。残念ながら1960年に家業を継ぐために音楽から足を洗ってしまいました。(その後1980年代に復活しました。)

ウォーリントンがリーダーとなった最初のクインテットは、トランペットがドナルド・バード、アルト・サックスがジャッキー・マクリーン、ベースがポール・チェンバース、ドラムスがアート・テイラーと、どの一人をとっても、とっても「こゆーい」人ばかりでした。"Live At The Bohemia"でそのサウンドが聴けます。出てくる音は痛快なハード・バップです。

このアルバムでは、ウォーリントンの2番目のクインテットの演奏が聴けます。ドナルド・バードはそのままですが、アルト・サックスはフィル・ウッズに変わっています。また、ベースがテディ・コティック、ドラムスがニック・スタビュラスと、最初のクインテットに比べると知名度の低いメンバー構成になっています。しかし、出てくる音は負けていません。

第1曲目の"In Salah"、高校生の私がレコードに針を落とした瞬間、気に入ってしまったマイナーのかっこいいバップ・ナンバーです。
テーマの後にフィル・ウッズのソロが出てきますが、これが溌剌としていてかっこいい。^^この当時、フィル・ウッズの艶やかなアルトの音色におおいにあこがれたものです。バードもメロディアスなトランペット・ソロで続きます。次にリーダーのウォーリントンのソロになりますが、リーダーとは思えないほど控えめなソロです。^^まあ、フロントのバードとウッズの活きがが良すぎる感じなんですが。^^

ウォーリントンのピアノの良さが出るのは、3曲目の"Graduation Day"です。この演奏はバードとウッズ抜き、トリオです。ここでは控えめなウォーリントンのピアノが深い情感をたたえて淡々とソロを展開しています。

"Indian Summer"はバードとウッズのフロントによるテーマ演奏が洒落たアレンジになっており、快適なハード・バップ演奏になっています。こういう曲想だとフィル・ウッズは実に壺にはまったソロをとってくれます。前任者のマクリーンほど陰影は濃くなく、ちょっと明る過ぎる気もしないでもないですが、楽器を鳴らすテクニックははるかに上です。歌心は両者伯仲かな。^^

控えめながら懐の深いリーダーの下に活きの良い若手をフロントに配したこのアルバム、今考えると、最初に買うJAZZの1枚としてはおそろしく地味なアルバムだったと思いますが、何度聴いても味わい深いスルメ的なよさを持ったアルバムだと思います。

1957年3月1日録音
George Wallington (p)
Donald Byrd (tp)
Phil Woods (as)
Teddy Kotick (b)
Nick Stabulas (ds)
[PR]
# by bluenob | 2008-08-13 21:55 | Piano