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カテゴリ:Bass( 1 )
Paul Chambers "Bass On Top"
b0160275_2153143.jpgいよいよ秋が深まってきました。こういう季節になると、ウォームな音が聴きたくなってきます。例えばベースの音。それも、ウッド・ベースの音をじっくりと聴きたくなってきます。
今日は、ベースの職人、ポール・チェンバースの代表作のひとつ、"Bass On Top"でも聴いてみましょう。

ポール・チェンバースは、その美しいベース・ラインで、4ビートのJAZZベースの頂点を極めた人だと思います。1950年代から1960年代初頭にかけては、最も多くのセッションに参加したベーシストではないでしょうか。
4ビートのウォーキングから管楽器を思わせるメロディックなアドリブ・ライン、どれをとっても水準以上のベーシストで、「とりあえずチェンバースを呼んでおけば良い音楽ができる・・・」と思われていたのかもしれません。

有名なところでは、1950年代後半から1960年代初頭のマイルス・デイヴィス・クインテット/セクステットのレギュラー・ベーシストとして、すべてのアルバムに皆勤賞で参加してます。カインド・オブ・ブルーの"So What"のベース・リフが印象的でした。
また、ジョン・コルトレーンの名作、ジャイアント・ステップスにも参加し、変態コード&馬鹿っ早の表題曲のウォーキングが気持ちよいです。

また、プレスティッジ、ブルーノート、リバーサイドの三大ハードバップレーベルのハウス・ベーシストとも言うべき存在で、これらのレーベルの秀作アルバムには、サイドメンとしてのチェンバースの名前が多く見つかります。
例えば、ウィントン・ケリーの"Kelly Blue"、ソニー・クラークの"Cool Sturttin'"、ジャッキー・マクリーンの"McLean's Scene"、ケニー・ドーハムの"Quiet Kenny"などなど、いくらでも出てきます。^^

そんなに多くのアルバムに参加しているチェンバースなのですが、どうも八方美人的なイメージがあります。
つまり、ソロの革新性ではスコット・ラファロにかなわず、4ビートのウォーキング・ラインの美しさではいとこのダグ・ワトキンズにかなわず、ビートの重さではサム・ジョーンズにかなわない・・・。でも、バランスの良いベーシストです。いわば、「トヨタ的80%満足のベーシスト」なのかもしれません。

この"Bass On Top"は、チェンバースのリーダー・アルバムですが、実に渋いメンバーです。ピアノがハンク・ジョーンズ、ギターにケニー・バレル、ドラムスにアート・テイラー。どのメンバーもハードバップ全盛時代には、多くのセッションに参加した職人中の職人、とも言うべき人ばかりです。さすが職人気質のチェンバースの人選です。

さて、このアルバムはチェンバースのリーダー作ですから、彼のベース・ソロ、「これでもかっ!」というぐらい堪能できます。

第1曲目はジェローム・カーンの名曲、"Yesterdays"です。テーマからしてチェンバースのアルコ・ソロです。ジョージ・ムラーツなどのように、アカデミックなベース奏法を学んだわけではなく、独学なのでスムーズさに欠けるギコギコしたアルコ弾きです。でも、このいかつい音、人によっては大嫌いだ、という人もいますが、私はこれがが彼の持ち味だと思うし、それなりに味もあると思います。

第2曲目もコール・ポーターの名曲、"You'd be so nice to come home to"、このアルバムの良さは、選曲のよさかもしれません。
こちらではピチカート・ソロです。「ベース・ソロばかりで胸がやけるなあ・・・」と思い始めた頃、絶妙のタイミングでケニー・バレルの渋いギター・ソロに代わります。派手さはないですが、ケニー・バレルのギターって、ジャジーな音で大好きです。続くハンク・ジョーンズのピアノ・ソロもシングル・トーンが小気味良いです。

第3曲目はバードの曲で、"Chaisin' The Bird"、ケニー・バレルとのテーマ演奏後、即またピチカートによるソロです。チェンバースのホーン・ライクなソロが堪能できます。バックでのバレルの4ビートのコード・カッティングが気持ちよいです。

第4曲目はスタン・ゲッツの名曲、"Dear Old Stockholm"、これもケニー・バレルの渋いテーマ演奏の後にチェンバースのピチカート・ソロ。まあ、リーダー作だから許されるのでしょうが、ソロ・オーダー、なんとかならんかったのかなあ、少々飽きてきます。^^

第5曲目はバップの定番、マイルス・デイヴィス作曲の"The Thame"、これもテーマの後、いきなりチェンパースのソロです。今回はアルコでギコギコですから、多少は変化がついていますが。^^

最終曲の"Confessin'"、これも最後だからってんで、テーマからピチカートでびんびんやってきます。えーかげんにしてくれー、と思ってるとハンク・ジョーンズの品の良いシングル・トーン・ソロ、ええなあ・・・。ブレークするとまたチェンバースのピチカート・ソロ・・・。さすがに飽きてきますが、内容は全然悪くないです。

夏の間は、この全編ベース・フューチャードというのがくどくて、なかなか聴く気がしないのですが、秋風が吹き、鍋物が恋しくなってくると、「今日は"Bass On Top"でも聴いてみるか・・・」となってきますから、人の気持ちなんてわからんもんです。^^

1957年7月14日録音
KENNY BURRELL (g)
HANK JONES (p)
PAUL CHAMBERS (b)
ART TAYLOR (ds)
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by bluenob | 2008-10-23 23:05 | Bass