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Mccoy Tyner "The Real Mccoy"
b0160275_20263368.jpg史上最強の瞑想宗教系&体育会系JAZZコンボ、ジョン・コルトレーン・カルテットのピアニスト、マッコイ・タイナーの代表的リーダー作です。

1960年代中期にコルトレーン・カルテットを支えたマッコイですが、トレーンのフリー・ジャズへの傾斜が高まるに連れてついていけなくなり、1965年11月録音の"Mediation"を最後にトレーンと袂を分かつことになってしまいました。まあアセンションなどで聴かれるマッコイ、確かに嫌々やってる、って感じがしないでもありませんでしたから。

その翌年である1966年は、スタンリー・タレンタインやドナルド・バードと言った、よりアーシーでファンキー系のミュージシャンと付き合いが多かったようです。トレーンの"Assencion"などのフリージャズで神経が参っていた反動なのかもしれません。まあ、私の憶測です。^^

1967年になって、マッコイはブルーノートと契約しました。ファンキー系ミュージシャンたちとのセッションでリハビリを完了した(^^;)マッコイは、コルトレーン・カルテットを通じて得たものの総決算として、このアルバムを録音することになりました。

「これこそ、俺のやりたい音楽だ、本当の俺"The Real Mccoy"を聴いてくれ!」という気合で作られたこのアルバム、素晴らしい出来栄えです。
ちなみに、"He is The Real Mccoy"というと「あいつはホンモノだぜ!」って意味になります。研究社の新英和中辞典をひくと、こんな感じです。「[the real 〜 で] 《口語》 (高品質の)本物,逸品; (亜流でない)本物の人,正真正銘の人.」
ブルーノートも、マッコイを売り出すために、なかなか洒落たタイトルを考えたもんだと思います。

このアルバム、同じくコルトレーン・カルテットを退いたエルヴィン・ジョーンズがドラムです。ベースは当時マイルス・コンボのベーシストだったロン・カーター、そしてテナー・サックスは破壊力十分のジョー・ヘンダーソンです。凄いメンバーです。

これにマッコイが加わると、「コルトレーン・カルテットがフリーにいかなかったらどうなってたか?」というパラレル・ワールド的な音楽になってきます。^^
すなわち、フリーではない、ストレート・アヘッドなジャズの最高進化系の音が出てくるのです。
1968年になると、JAZZは電化されていきますが、この1967年という年は、電化される前の最高のJAZZがたくさん録音された年だと思います。マイルス・デイヴィスの"Nefertiti"もこの年の録音です。

第1曲目の"Passion Dance"、ジョーヘンとマッコイのユニゾンで奏される力強いテーマがそもそもかっこいいです。続くマッコイのソロも素晴らしい。強力な左手による低弦パンチ、右手のアウト・スケールするシングル・トーン、それこそ「道端に落ちていてもわかるぐらい明白な」、マッコイの音です。
またジョーヘンのソロも、コルトレーンを基本にしてオーバー・トーンや変え指による音色調整も加え、強力にドライブします。
また、ロン・カーターのベース・ラインも、エルヴィンのシンバル・レガートも、強力にフロントをプッシュします。
曲全体を通じて、「フリーじゃなくたってクリエイティブなJAZZはできるんだぜ!」というすがすがしくなるぐらい旗色鮮明な主張が伝わってきます。

2曲目の "Contemplation"、スロー・テンポで瞑想的な雰囲気の曲ですが、テーマ後のジョーヘンのアドリブも熱いこと熱いこと。^^マッコイも音数は多いですが、決して軽薄にならない迫力満点のソロです。また、バックのエルヴィンのドラムス、何度聴いてもすごいわ、って感じです。

"Four by Five"は、ジョーヘンの作りそうな感じのリフで始まるアップテンポのナンバーです。ジョーヘンのフラジオを交えたソロ、この時代から現代に至るまで、定番となったテナー・ソロだと思います。マッコイの強力な左手がここでも冴え渡っています。地味ですが、ロン・カーターの4ビート・ランニングもモダンです。

4曲目の"Search for Peace"は、コルトレーン・スタイルによるバラードです。とは言うものの、ジョーヘンの資質がトレーンべったりではないので、よりアーシーな雰囲気感じさせる音のバラードになっています。

5曲めの"Blues on the Corner"、このリフもジョーヘンの"Isotope"を思わせるユーモラスでかっこいいブルースになっています。マッコイのソロも、ジョーヘンのソロも、モーダル・ブルースの定番的表現です。

このリアル・マッコイで演奏されているJAZZ、通称「体育会系JAZZ」です。昨今の「お洒落な」JAZZブームでファンになった方々とっては刺激が強すぎるかもしれませんが、私はこの汗をかいて疾走するJAZZ、いまだに大好きです。

1967年4月21日録音
Joe Henderson (ts)
McCoy Tyner (p)
Ron Carter (b)
Elvin Jones (d)
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by bluenob | 2008-11-01 21:40 | Piano
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