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Sonny Clark "Cool Struttin'"
b0160275_20304281.jpg秋が深まってくると、必ず聴きたくなるアルバム、「クール・ストラッティン」です。J
AZZを聴き始めた頃から好きなアルバムで、それこそ溝が擦り切れるまで聴いたアルバムです。
フレーズのひとつひとつまでカラオケで歌えるぐらい聴きましたから、ええ加減聴き飽きててもおかしくないのですが、それでも秋から冬にかけて、ちょっと首筋が寒くなってきたなあ、という季節になると、「今宵はクール・ストラッティンを聴きながら一杯やるか・・・」と思ってしまいます。^^

このアルバムは、お薬のやりすぎで31歳という若さで夭折したピアニスト、ソニー・クラークの代表作です。ブルージーでタッチの重い、「これぞJAZZピアノ!」というピアニストでした。
トミー・フラナガン、レッド・ガーランド、ウィントン・ケリーというこの時代の花形ピアニストたちは、よく「転がるようなシングル・トーンの魅力」と言われることが多いですが、クラークのピアノは、もっとタメの効いた、ダークなトーンが魅力です。数多い「バド・パウエル・スクール」のピアニストの中でも、バドの妖し輝く黒いタッチを最も濃厚に継承したピアニストではないでしょうか。

また、このアルバムは、サイドメンも素晴らしい面子が集まっています。フロントにアート・ファーマー(tp)とジャッキー・マクリーン(as)、そしてベースにポールチェンバース、ドラムスがフィリー・ジョー・ジョーンズです。加えてパウエル直系のソニー・クラークがリーダーですから、どうやったってグルーヴィなアルバムしかできっこありません。^^

また、リード・マイルスがデザインしたジャケットも出色の出来栄えです。タイト・スカートから覗くこましゃくれた足取り、足フェチの人が見たら思わずクラッとなりそうなデザインで、ブルーノートのアルバムらしいジャジーな雰囲気に溢れています。いつか、誰かに「足タレ」になってもらって、こんな写真を撮ってみたいなあ。^^ちなみに、このアルバム写真の足タレ、ソニー・クラークの奥さんだ、という説と、デザイナーのリード・マイルスのアシスタントだ、という説があるようです。

LPで言うと、かつてのA面が大好きでした。2曲ともクラークのオリジナル作品です。スロー・ブルース"Cool Struttin'"、ブルースのエッセンスの詰まった好演です。ソニー・クラークの重く引きずるようなタッチと黒光りする音色、アート・ファーマーのクールで知的なソロ、マクリーンのイモイモしくもブルージーなフレーズと後ろに倒れこむようなレイドバックした感覚、チェンバースの濃厚なアルコ弾きソロ、どれも大好きです。

2曲目の"Blue Minor"は、私がこのアルバムで一番好きな演奏です。アルト・サックスとトランペットのアンサンブルは、テナーとペットのアンサンブルより一段と憂いに満ちたフィーリングになるような気がします。マクリーンの舌足らずなソロが「青春の痛み」という感じで実にいいです。クラークのパウエル・ライクな黒くてドライなソロも素晴らしいです。

かつてのB面は、マイルスの"Sippin' At Bells"です。どってことないハード・バップですが、クラークのソロが実にグルーヴィで良い味を出してます。

4曲目の"Deep Night"、テーマからピアノ・ソロまでは、ピアノ・トリオだけの演奏を聴くことができます。このトリオ・フォーマットで聴くと、バド・パウエルをモダンにしてファンキーにしたクラークの良さがよく出ているように思います。
その後に出てくるアート・ファーマーのソロも大好きです。マイルス・デイヴィスほどクールではなく、ドナルド・バードほど暑苦しくなく、中庸の魅力です。
またマクリーンのソロも、ハスキーなトーンでブルージーに歌いまくっており、ピッチが少々狂っていても気になりません。
フィリー・ジョー・ジョーンズのタイトで黒く締まったソロが終わり、ピアノ・トリオでのテーマが演奏されてアルバムの幕を閉じると、また頭から聴きたくなってしまいます。

このアルバムは、かつてのJAZZ喫茶で一番リクエストが多かった名盤だそうです。でも、そんなに人気があるのは日本だけのようです。夭折したミュージシャンを尊ぶ風土もありますし、このアルバムに流れるファンキーだけどブルーな雰囲気が、日本人の感性をいたく刺激するからかもしれません。

でも名盤かとあらためて聞かれると・・・。うーん、どうなんでしょう。演奏自体はもっと優れたアルバムはいっぱいありますから。
でも、このアルバムは「良い・悪い」を超越したところにあるアルバムではないか、と思います。判断基準は、「好き・嫌い」でいいんじゃないでしょうか。人がなんと言おうと、このスモーキーな雰囲気は大好きなんだもん、って感じです。あはははは。^^

JAZZ喫茶で、「クール・ストラッティン、お願いします。」というリクエストが入ると、「おー、JAZZを効き始めたばかりのトーシロだな、こりゃ・・・」と思うくせに、その一方、「早くかけてくれよ、クール・ストラッティン。」と、心待ちにしている自分もいたりする、そんなアルバムです。^^

1958年1月5日録音
Art Farmer (tp)
Jackie McLean (as)
Sonny Clark (p)
Paul Chambers (b)
Philly Joe Jones (ds)
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by bluenob | 2008-10-28 21:27 | Piano
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