Copyright © 2008 Blue Nob All Rights Reserved
Bill Evans "Explorations"
b0160275_21391161.jpg数日前に"Portrait In Jazz"のエントリーを書いたときに、「ビル・エバンスこそ我が最愛のピアニスト」と書きましたが、そのエバンスの数ある名盤の中でも、私の一番の愛聴盤が、このエクスプロレーションズです。

ビル・エバンス、スコット・ラファロ、ポール・モチアンの3人によるJAZZ史上に燦然と輝くピアノ・トリオの残したアルバムは4枚しかなく、その中で以前ご紹介したポートレート・イン・ジャズとこのエクスプロレーションの2枚がスタジオ録音、残りの2枚はニューヨークの名門ライブハウス、ビレッジ・バンガードでのライブ録音です。ライブにはライブの良さがあるのですが、このトリオの場合、私はスタジオ録音の2枚がなぜか好きです。

このトリオの最初のアルバム、ポートレート・イン・ジャズから1年2ヶ月後に吹き込まれたエクスプロレーションズ、さらに熟成がすすんだ素晴らしいアルバムです。"Explorations"「探求」と名づけられたタイトルからもわかるように、有機的な音楽ユニットとしてのピアノ・トリオが、より深く掘り下げられた作品になっていると思います。

私がこのアルバムを偏愛する理由は、曲の並び方にあります。名曲の名演が、実に気持ちよくならんでいるのです。
1. Israel
2. Haunted Heart
3. Beautiful Love
4. Elsa
5. Nardis
6. How Deep Is the Ocean?
7. I Wish I Knew
8. Sweet and Lovely

1曲目のイスラエル、ジョニー・キャリシ作曲のマイナー・ブルースで、多くのプレイヤーにカバーされていますが、私はこのエバンス・トリオの演奏が最高だと思っています。
YouTubeにも、1965年のロンドン公演における"Israel"がありました。ただ、オリジナルのこのCDの演奏に比べて不自然にテンポが早いし、エバンスのタッチも荒いです。ベースはチャック・イスラエル、ドラムスはラリー・バンカーですので、ラファロ・モチアンに比べると熟成度が足りません。でも、「へそを見ながらピアノを弾くエバンスの勇姿」を見ることができますので、ご興味があれば覗いてみてください。^^

このアルバム、マイナー曲は端正でスインギーな演奏になっており、"Israerl"だけでなく、"Beautiful Love"、"Nardis"、"How Deep Is the Ocean?"も名演です。

また、バラードの"Haunted Heart"、”Elsa"では、耽美的なエバンスのピアノと、テクニック偏重に陥らず音楽性重視のスコット・ラファロのベースの重低音が印象的です。

特にラファロのベース、この当時の録音としては最高の音質だと思います。やわなスピーカーではびびってしまいベース音が再生できません。やるなあ、リバーサイド。^^

ところで、"Nardis"は一般的にはマイルス・デイヴィスの作曲ということになっていますが、このトリオのドラマー、ポール・モチアンによれば、「あれは本当はビルが書いた曲なんだよ。」とのことです。
確かにマイルスの作曲傾向とはかなり異なっています。ポール・モチアンの証言を聴かなくても、「こりゃエバンスの作曲じゃないのかな・・・」と疑いたくなってしまうぐらい、エバンスのにおいのする曲です。
おそらく、"Blue In Green"同様、当時のボスだったマイルスに強奪されてしまった曲なのでしょう。悪いやつだなあ、マイルス。^^

なお、CDではボーナストラックが入っていて、"Beautiful Love"のオルタネイト・トラック、そして"The Boy Next Door"が追加されています。
”Beautiful Love"はこのオルタネイトの方が先に録音されたもので、特に問題はなかったにもかかわらず、最後まで録音がすんだ後、すごくよく出来上がって気持ちが良かったので、「もういっぺんやってみよか!」とやってみたら、テーマを崩してしまったほうがずっと良かったので、Take2をマスター・テイクにしたんだそうです。
また、"The Boy Next Door"も後日、エバンスが好んで取り上げるレパートリーになりましたが、確かに他の曲に比べると少々凡庸な出来で、LPに入らなかった理由がわかります。^^

なお、このアルバムはCDとLPと持っていますが、LPの方は私の宝物です。1976年の1月にビル・エバンスが来日した折に、楽屋まで押しかけて行き、ビルにサインをしてもらったものです。このサイン、私の写真ブログに紹介してあります。まじめなビル・エバンスらしい、端正なサインでした。

1961年2月2日録音
Bill Evans (p)
Scott LaFaro (b)
Paul Motian (d)
[PR]
by bluenob | 2008-10-10 22:32 | Piano
<< Paul Chambers &... Keith Jarrett &... >>