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Sonny Rollins "Newk's Time"
b0160275_2311315.jpgJAZZテナーサックスの巨人、ソニー・ロリンズがブルー・ノートに残したアルバムの中で、一番好きなアルバムです。

ロリンズの名盤は数限りなくありますが、世評としては、プレスティッジに残した"Saxophone Colossus"、コンテンポラリーに残した"Way Out West"、そしてブルー・ノートに残した"A Night At The Village Vanguard"が代表的なものだと思います。
この3枚、どれもスケールの大きなアドリブ、ユーモアとペーソスをたたえた歌心、確かにロリンズらしい名演だと思います。
しかし、ロリンズのアドリブの「凄み」を聴く上では、この"Newk's Time"も超一級の出来栄えのアルバムだと思います。

同じテナーサックス奏者でも、ジョン・コルトレーンなら「凄み・迫力」というイメージのアルバムがたくさんありますが、ロリンズの場合は「音楽性全体の魅力」が先にたってしまい、「凄み」を心底味わった、というアルバムはあまりないような気がします。
しかし、この"Newk's Time"はロリンズにしては珍しく、黒々とした「凄み」が前面に出たアルバムになっています。
ある意味、演奏者好みのアルバムかもしれず、テナー・サックスを吹いている人には、このアルバムが大好き、という人が多い気がします。

1曲目の"Tune Up"からして迫力があります。
挑発するようなフィリー・ジョーのドラムに乗せて、軽快なロリンズのアドリブが冴え渡ります。このアルバムが「ロリンズの凄み」を引き出している理由のひとつは、リズム・セクションの違いがあるような気がします。
サキ・コロのリズム隊はトミー・フラナガンとマックス・ローチ、黒人ではありますが、二人とも知性派だし、情熱がほとばしるというタイプではないと思います。
ウェイ・アウト・ウェストも同様で、シェリー・マンとレイ・ブラウン、やっぱりウェストコースとならではの明るさ、軽さが身上のリズムです。
しかし、このアルバムは、ドラムにフィリー・ジョー・ジョーンズ、ピアノにウィントン・ケリーと、より「黒くて熱い」ミュージシャンが参加しており、彼らがロリンズのアドリブ魂に火をつけているのではないでしょうか。

2曲目の"Asiatic Raes"は、トランペットのケニー・ドーハムのオリジナル、"Lotus Blossom"の別名曲です。オリエンタルな味わいの曲ですが、ロリンズのテナー・サウンドの熱いこと熱いこと。テナー・サックス、かくあるべしという、素晴らしい音色です。

3曲目の"Wonderful! Wonderful!"はロリンズ好みの、懐かしいようなメロディーの曲です。ここでもロリンズのアドリブは緩急取り混ぜ自由自在、よどみなく歌いまくっています。

4曲目の"Surrey With the Fringe on Top"はまさしく圧巻です。ロリンズのアドリブの凄みを嫌というほど味わうことができます。この1曲のためにこのアルバムを買っても後悔しません。
この時代では珍しい、テナー・サックスとドラムスのデュオですが、ロリンズもフィリー・ジョーも挑戦的な音を連ね、剣豪同士の真剣勝負に似た緊張感が漂っています。
このアルバムを吹き込んだ2ヵ月後に、ロリンズはピアノ・レス・トリオでの"A Night At The Village Vanguard"が吹き込んでいますが、ここでの編成はさらにシンプルなだけに、ロリンズの凄みが際立ちます。

5曲目のブルース、"Blues for Philly Joe"、テーマを繰り返し引用しながらのロリンズ節です。ブルースという基本的なフォーマットにもかかわらず、ロリンズらしい個性がばっちり出ています。また、ダグ・ワトキンスのベース・ソロもグルーヴィで、そこから4バース・チェンジに入っていくあたりの流れもファンキーで楽しいです。

最終曲は"Namely You"、心地よいミディアム・テンポの名演です。ロリンズの豪快な音色、余裕すら感じさせる歌い方がたまりません。「男は黙ってソニー・ロリンズ」って感じです。ウィントン・ケリーのピアノ・ソロも、よく言われる「玉を転がすような」という形容がぴったりの小粋なスイング感に溢れています。

ロリンズのアルバムとしては、不当に評価が低いように思いますが、私はこのアルバムのロリンズを愛してやみません。

1957年9月22日録音
Sonny Rollins (ts)
Wynton Kelly (p)
Doug Watkins (b)
Philly Joe Jones (ds)
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by bluenob | 2008-10-05 21:24 | Tenor Sax
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