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Nob's Favourite Jazz Albums

私の好きなJAZZアルバムのご紹介です。


by bluenob

Amalia Rodrigues "Com Que Voz"

Amalia Rodrigues \"Com Que Voz\" _b0160275_2128105.jpgこのアルバムは、ポルトガルのファドの女王、アマリア・ロドリゲスの1987年のアルバムです。

このアルバムがJAZZでないのは百も承知ですが、あえてご紹介させていただきます。アマリア・ロドリゲス、ビリー・ホリデイに勝るとも劣らない感動を与えてくれる素晴らしいヴォーカリストです。

ファドは、ポルトガルで生まれた民俗歌謡です。ファドとはポルトガル語でも運命とか宿命とかという意味の言葉です。英語だと"fate"です。この重い名前からも察しがつくように、ファドはアメリカにおけるブルースのような響きを持った音楽です。

アマリア・ロドリゲス(Amália Rodrigues、1920年7月23日-1999年10月6日)は、そのファドの国民的歌手です。このアルバムは、アマリア・ロドリゲスが67歳の時に吹き込まれたものです。

若い頃のような声量も艶もすでにないのですが、それでもこのLPに針を下ろし、アマリアの声が聞こえてくると、いつも全身総毛だってしまいます。魂が震える、というのはこういうことを言うのでしょうか。
Jazzで言うと、Mal Waldronの畢生のアルバム "Left Alone" で、Jackie McLeanのアルト・サックスが入ってくる瞬間に似ていますが、より強烈に魂をゆさぶられます。

1曲、2曲と聴くにつれ、「ファドって運命か、俺の運命はなんだろう・・・」と考えさせられてしまいます。
そんな重い音楽ですが、決して聴きにくいものではありません。むしろ、自然に耳に入り、心の奥の一番柔らかなところに染み込んでくるような感じです。
軽いJAZZボーカルもお洒落で良いものですが、たまにはこんなファドのアルバムを聴いて、どっぷりと重い雰囲気にはまってみるのも良いものです。

なお、このアルバムのジャケット写真、大好きです。
若い頃は艶やかな美女だったアマリアですが、このアルバムに写っているのは、老境に入ったアマリアです。シワが増え厚化粧になったとは言え、女性として、人間として、より美しく深みをたたえた素晴らしいアマリア・ロドリゲスです。
この写真を撮ったカメラマン、実に素晴らしい仕事をしました。CDで出ている"Com Que Voz"は、この素晴らしい写真が使われておりません。残念なことです。

このアルバムのタイトルとなった曲"Com Que Voz"のYouTube動画がありますので、リンクを貼っておきます。
また、このアルバム収録曲で、もう少し明るい「ヴィアナへ行こう」"Havemos de Ir à Viana"のYouTube動画もあります。
これも素敵な歌唱です。
by bluenob | 2008-08-31 22:00 | Vocal