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Hank Mobley "Soul Station"
b0160275_23383061.jpg前回、元ボクサーのレッド・ガーランドのエントリーを書いたので、今日は「元ボクサー」つながりで、ハンク・モブリーのアルバムについて書きたくなりました。^^この人も格闘技出身なのに、攻撃的な音は一切出さない人です。

ハンク・モブリー、はっきり言って、一流の「二流テナー・サックス奏者」です。以上。

って、それじゃああんまりです。本当は最近、お気に入りのテナー・サックス奏者なので、まじめに書きましょう。^^

ハンク・モブリー、日本語ではなぜか「ハンク・モブレー」と表記されることが多いようですが、正しい発音は、「モブレー」ではなく「モブリー」ですね。英語の地名や人名の"ley"は「リー」に近く発音されます。高級車のBentleyも「ベントレー」ではなく、「ベントリー」です。

ジャズ・メッセンジャーズの"At The Cafe Bohemia, Vol. 1"の冒頭で、アート・ブレイキー御大がメンバー紹介をやっています。
これを聴くと、"On the tenor saxophone, we have a new star on modern jazz horizon, Hank Mobley!"と紹介しており、あえてカタカナで書くと、「モーブリー」に近い感じです。^^

さて、このハンク・モブリー、昔は好きではありませんでした。コルトレーンやデックス、スティーブ・グロスマンなどの太くて硬い音が好きだったので、モブリーの音やフレージングは、「なんじゃ、こりゃ。ふにゃふにゃもごもごしているな。モーイ(芋)だでかんわ。」と、切り捨ててしまったのでした。いやはや、若さと「馬鹿さ」はほとんど同義語です、私の場合。^^

しかし私の好みも年齢と共に奥が深くなりました。40才を越えたあたりから、モブリーのしなやかなベルベット・トーンとメロディアスなフレージングが大好きになってしまいました。^^
コルトレーンに代表される体育会系JAZZ、今でも大好きですが、昔と違ってストレスの多い生活になってきたせいか、モブリーのような「癒し系」のサウンドもお気に入りになってきました。

モブリーのテナー・サウンドは、同時代のコルトレーンやデックスに比べてまろやか、スタン・ゲッツよりもウォームです。アド・リブのメロディー・ラインは常に安定しており、リラックスして聴くにはもってこいの人です。作曲もたくさんやってますが、毒にも薬にもならないハード・バップばかりです。^^

かと言って音楽性がお粗末なわけではなく、それが証拠に、一時期マイルス・デヴィスのコンボにも在籍していました。マイルスの"Someday My Prince Will Come"でその音が聴けます。イマジネイティブなソロをとるコルトレーンと対比すると、モブリーのソロはメロディアスですがクリシェだらけです。若い頃はこれがなんともイモイモしく聴こえたものですが、今はこれはこれで気持ちが良いです。^^

このアルバム、"Soul Station"は、ハンク・モブリーのワン・ホーン・カルテットのアルバムで、モブリーの魅力が凝縮されています。

リズム隊は、ピアノにウィントン・ケリー、ベースがポール・チェンバース。マイルス・バンド時代の同僚ですね。ドラムスはかつての親分、アート・ブレイキーです。
この面子で変な音が出てくるはずがありません。^^よく知った仲間との和気藹々とした雰囲気の中で、レイドバックしたご機嫌なハード・バップが演奏されています。

1曲目の"Remember"、モブリーの魅力が一番発揮されるミディアム・テンポのナンバーです。モブリー特有のメロディアスなアド・リブが淡々と展開されており、難しいことはなーんにもやっていませんが、楽しいJAZZになっています。

アルバム・タイトルにもなっている"Soul Station"もミディアム・スローでブルージーなナンバーで、ここのモブリーのさりげないソロ、すごくかっこいいです。このぐらい肩の力を抜いて吹けたら気持ちが良いだろうなー、って感じです。

アルバムを締めくくる"If I Should Lose You"、このアルバムで一番好きな曲です。 モブリーはつくづく歌モノがうまいな、と思います。淡々と展開される哀感漂う枯れたアド・リブがたまりません。ケリーのソロもご機嫌です。

刺激的な音に疲れてしまったとき、でも上質なJAZZを聴きたいなと思ったとき、このアルバムはなかなか良い選択肢の一つだと思います。

1960年2月7日録音
Hank Mobley (ts)
Wynton Kelly (p)
Paul Chambers (b)
Art Blakey (ds)
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by bluenob | 2008-08-07 23:40 | Tenor Sax
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