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Nob's Favourite Jazz Albums

私の好きなJAZZアルバムのご紹介です。


by bluenob

Stan Getz "Getz/Gilberto"

Stan Getz \"Getz/Gilberto\"_b0160275_22101843.jpg今日の名古屋の最高気温は37.8度、こんな暑い夜にはボサ・ノバが聴きたくなります。^^

これは、白人テナー・サックス奏者の巨人、スタン・ゲッツがボサ・ノバの創始者ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンと組んで発表したアルバムです。このアルバムは、音楽界に"Bossa Nova"というジャンルを確立させた画期的なアルバムでもあります。

スタン・ゲッツは、レスター・ヤング系のテナー・マンで、1940年代後半にはクール・ジャズを代表するテナー・サックスとして人気を集めました。しかし、この時代のジャズ・ミュージシャンにありがちな「お薬」への依存が断ち切れず、1954年には「お薬代稼ぎ」のためにコンビニ強盗を起こして逮捕されてしまいました。服役を終えた後は、アメリカを脱出し、スウェーデンに移住してしまいました。

また、ジョアン・ジルベルトは、このアルバムにも参加しているアントニオ・カルロス・ジョビンと共に、1950年代末からボサ・ノバのパイオニアとしてブラジルで活躍していました。ちなみに世界最初のボサ・ノバ・レコードは、1958年に吹き込まれた"Chega de Saudade"だそうです。いまだにボサ・ノバのスタンダードで、英語でも"No More Blues"、日本語では「想いあふれて」としてカバーされています。

このアルバムはスウェーデンから帰国したスタン・ゲッツとジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンとのコラボレーションによって作られました。今聞いてみると、その後のボサ・ノバ・スタンダードが綺羅星のごとくならんだアルバムとなっています。
今の枯れたジョアンの歌声も大好きですが、若い頃のジョアンの声も艶があって素敵です。

ゲッツのテナーも、ボサ・ノバのクールな雰囲気にぴったりです。この人のソロ、昔は「まるで書いたのを演奏するみたいなアドリブで嫌い!」だったのですが、今は「書いたみたいにスムーズにアドリブするゲッツは凄い!」に評価が変わってきました。^^;

どの曲も、ボサ・ノバらしい快適な音楽で、1963年のグラミー賞4部門を独占する大ヒットとなったのも、むべなるかなという感じです。

また、このアルバムにはジョアン・ジルベルトの当時の奥さん、アストラッド・ジルベルトのボーカルが聴けます。ヘタウマの世界ですが、これでアストラッドはボサ・ノバ・シンガーの座を確立してしまったのでした。

私も若い頃、ブラジル音楽を聴きまくっていた時代がありました。サンバからサンバ・カンサゥン、ショーロなど、JAZZの4ビートよりも新鮮に感じていました。仲間とブラジル音楽バンドも作っていました。ナラ・レオンの名曲をリーパクして、"Vento De Maio"という名前のバンドで、いっちょまえにバツカーダなんかもやったりしてました。

私はこのバンドでテナー・サックスとフルートを担当してましたが、ゲッツのようには吹かず、ベルグ・ラーセンのマウス・ピースで、ガトー・バルビエリのようにゴリゴリ吹いていました。今考えると、野蛮だったなあ。^^;

今でも夏になると、ボサ・ノバやサンバを好んで聴いていますが、このアルバムはその中でもスタンダードです。当時はあまり好きでなかったスタン・ゲッツも、気持ちよく聴ける年になってきました。

1963年3月18日~19日録音
Stan Getz (ts)
Antonio Carlos Jobim (p)
Joao Gilberto (g, vo)
Tommy Williams (b)
Milton Banana (d)
Astrud Gilberto (vo)
by bluenob | 2008-08-05 23:09 | Tenor Sax